「顔採用、はじめます。」顔採用はあるのか、企業の人事経験者が語る

顔採用ってあるの!?

以前、某化粧品会社が「顔採用、はじめます。」というキャッチコピーを用いて採用活動を開始したことが話題になりました。

多くの誤解を招きそうなキャッチコピーですが、その真意は、「私らしさ」を表現している写真と「自身のメイクや見せ方を通した『私らしさ』」を約200文字で紹介する文章の2点をもって選考を行うことを指しているようです(容姿のみで判断して採用するという意図ではないようです)。

さて今回のコラムでは、「可愛いから採用する」「イケメンだから採用する」といったいわゆる顔採用があるのかについて、東証一部上場企業の元人事担当者の見解をもとにご説明いたします。

どんな人にこのコラムを読んで欲しいか

  • 就職活動中の人
  • 何らかの面接を受ける予定の人

顔採用はある

人事担当者
人事担当者

人事をしていると「顔採用ってあるんですか?」と尋ねられることが多々あります。この問いはほとんどの場合、上述の化粧品会社とは異なる意図で「顔採用」という言葉を用いているでしょう。私は、このような問いを受けたとき「顔採用はある」と答えています。語弊が無いよう解説しますが、容姿だけで合否を判断するという意味ではありません。ただ、見た目の差による影響がゼロとは言い切れないと感じています。

人は見た目が9割

むかし、「人は見た目が9割」という本がありましたが、まさにその通りだと思います。企業の面接官は、採用面接という限られた時間の中で応募者の雰囲気を感じ取らなければならず、見た目という要素も一つの手がかりになります。

例えば、髪の毛に寝癖がついたままの方は、面接官の目にどう映るでしょうか。想像に易いと思いますが、印象が良くありません。他にも、口の横にスナック菓子の食べかすのようなものがついている応募者を見たことがありますが、残念感が拭えません。

容姿を含めた見た目は、応募者の第一印象を決定する要素であることは間違いありません。

見た目以外の評価が横並びの応募者がいたとして、唯一の違いが清潔感の有無だとしましょう。誰もが清潔感の有る方を選びますよね。好んで不潔な方を選ぶ人はいないでしょう。

とても簡単な話です。面接に限らず人と人との関わり合いにおいて、見た目の印象や清潔感といったものは、少なからず影響力を持っているのです。

そういう意味では、広い意味での「顔採用はある」と言えます。

企業の面接官も人である

業界や企業の方針によって、その度合いは異なりますが、特に人前に出る仕事などであれば、顔(印象・見た目)のプライオリティは高くなるでしょう。

ただし、勘違いしてはいけません。人前に出ることを想定していない仕事だから、見た目を気にしなくて良いということではありません。

当然、面接官は、会社の発展に寄与する人物を採用するために面接を行い選別をしているわけですが、直接仕事に関係する専門性やスキルのほかに、印象についても評価するポイントとなり得ます。

不潔な人とは一緒に働きたくありませんよね。そして言葉にはしないまでも、直接仕事に関係する専門性やスキルでの評価が一定のレベルを超えているのであれば、男性の面接官が無意識に顔が良い女性応募者を選んでしまうかも知れません。堂々とそんなことを言う人はいませんが、面接官も一人の人間だということを忘れてはいけません。

とはいえ、顔だけで合格にはならない

これまで、顔採用はあるとお伝えしてきましたが、どのような業界であっても顔が良い(可愛い、カッコいい)だけで採用することはまずありません。

顔が良いことが会社の利益に直結することはまずありませんから、面接の合格基準の最優先事項が「顔が良いこと」となることはないでしょう。

つまり、いわゆる面接の評価事項をクリアしたうえで、顔や印象が良いと少し有利になるということです。

さいごに

これから就職活動を行う方々におかれては、是非、見た目に気を遣って面接に臨まれることをお勧め致します。

少し意識して、髪の毛を整える・清潔感を出すだけで、その努力以上の大きな効果につながります。