コンサルティングファームで成果を出せないとすぐクビになるのか?|アベイラブル期間とPIP

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近年、コンサル業界の就職人気が急激に高まっています。新卒の就職人気企業ランキング等においても、商社とならんで戦略コンサルティングファームや総合コンサルティングファームの名前を目にする機会が多くなりました。

新卒者にかかわらず、事業会社からコンサルティングファームへの転職を考えている人も多くいらっしゃるでしょう。しかしながら、コンサル業界に興味を持っているものの、「コンサル業界では成果を出せないとすぐクビになると聞いて心配」「コンサル未経験だけど通用するのかな」等と悩んでいて、転職活動に踏み切れない方をよく見かけます。

そこで今回のコラムでは、「コンサルティングファームにおいて成果が出せない社員はすぐにクビになるのか」という疑問について、事業会社から総合コンサルティングファーム(BIG4)に転職した経験のある現役コンサルタントが解説いたします。

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どんな人にこのコラムを読んで欲しいか

  • コンサル業界に興味がある方
  • コンサル業界への転職活動を行っている方
  • コンサル業界の「クビ」事情が気になる方

結論:即クビにはならない

結論から申し上げると、一度の失敗や1年程度成果が出なかったくらいではクビにはなりません。

コンサルティングファームと言えど、国内のファームであれば「外資系」と称される場合でも、即クビになることはまずありません(海外のファームであれば、この限りではなく、即クビも十分にあり得ます)。

理由:日本の労働基準法・労働契約法に守られているから

それでは、即クビにならない理由を説明していきましょう。

その理由は、日本の労働基準法および労働契約法に守られているからに他なりません。具体的には、労働基準法第19条・20条、労働契約法16条に解雇制限、解雇の予告、解雇権濫用法理についての定めがあります。

関連する法令の内容をざっくり解説すると…
企業が解雇権を行使する際の必要要件は、①解雇制限に該当しないこと、②解雇の予告または予告に代わる措置を行うこと、③解雇権の濫用に該当しないこと。これらのうち、③がコンサルティングファームで即クビにならない理由の根拠となる。

「解雇権の濫用に該当しない」状態とは、その解雇が客観的に合理的な理由に基づき、社会通念上相当であると認められている状態を指します。

客観的に合理的な理由とは具体的に、「労働者の労務提供の不能や労働能力または適格性の欠如・喪失」「労働者の規律違反の行為」「経営不振による人員整理」などが該当すると一般的に言われています。

つまり、これらの状態にあることが明確でなければクビにすることが難しいということですが、実際問題、1年程度成果が出せなかったということをもって、「労働能力または適格性の欠如」とは言えないと判断されているのです。

成果を出せていないとアベイラブル期間が長くなる

会社として、即クビにすることはできませんが、そのような社員は、プロジェクトへのアサイン機会が減少していき、アベイラブル期間が自ずと長くなってしまいます。

アベイラブル期間とは…
どのプロジェクトにもアサインされていない期間(=クライアントから報酬を貰っていない期間)を指す。
アベイラブル期間が長くなることで、「価値を発揮できていない」「会社に貢献できていない」と自覚することになり、会社の居心地が悪くなってしまうことでしょう。このタイミングで、自ら退職する方は一定数いますが、会社として退職勧奨することはありません。

成果を出せていないとPIP(Performance Improvement Program)が適用される

とは言っても、成果が継続して出ていない社員を会社として放っておくわけにはいきません。そこで、自ら会社を去らない社員に対して、会社はPIP(Performance Improvement Program)を適用します。

PIPとは、業績改善プログラムを意味し、一定期間(一般的に1年程度)において、 成果を出すために取るべき改善行動を人事や上司とすり合わせし、進捗を日々確認しながら進めていく活動を指します。当該期間内に会社が与える目標を達成できない場合には、退職を促されることになります。

例えばあるファームでは、2年連続で所定の評価(ファーム内の最低評価)を受けた社員に対し、1年間のPIPを適用しています。

ですので、入社後すぐにクビになるといったことはありませんが、3年程度のスパンで見れば、退職を迫られることはあり得ます。

さいごに

本コラムでは、コンサルティングファームにおいて成果が出せない社員が、すぐにクビになることはない理由について解説しました。ただし、PIPについても触れ、3年程度のスパンで見れば退職を迫れれることは十分にあり得るともご説明しています。

このコラムを読まれている方は、少なからずコンサル業界に興味があるのではないでしょうか。そんな皆さんにお伝えしたいのは、コンサルティングファームでのキャリアは、短期間でも無駄やマイナス評価にはならないということです。

一般的に、コンサル業界は短期間でもスキルアップが見込まれますし、流動性の高い業界であるため、短期間での離職が当たり前とされています。つまり、転職活動において、1年でもコンサル業界の経験があれば、一定程度の評価を受けることにつながります。

ですので、興味が少しでもあるようならば、勇気を出してコンサル業界に足を踏み入れることをお勧めいたします。

なお、各企業の面接を実際に受けた方のクチコミも公開していますので、コンサル業界への転職活動を行う際には、こちらもあわせてご確認ください。

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